スーツケースのロックと鍵の防犯性と安全性について
「夫婦で同じスーツケースの色違いを購入したのですが、片方の鍵でもう片方の鍵が開いてしまいます。こんな鍵で大丈夫なのでしょうか?」
こちらは先日頂いたご質問です。ご家族で同じメーカーや同じモデルのスーツケースを購入された方は、こういった疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
同じモデルのスーツケースですと、他のスーツケースの鍵で開いてしまうということは十分に起こり得ることです。
こういったことも含め、今日はスーツケースの防犯性とセキュリティについて解説していきます。
鍵のパターンは意外と少ない
同じモデルを購入した場合、同じ鍵で複数のスーツケースを開けられてしまう場合があるのは、スーツケースの鍵の形状のパターンが一般的に考えられているよりも遥かに少ないためです。
同じモデルのスーツケースに付いている鍵のパターンは、数種類から数十種類が一般的です。
数万通り、あるいは無数に種類がある家の鍵に比べると相当パターンが少ないのが分かります。
スーツケースのモデル自体が何千種類とあるため、実際には街中で同じ鍵を持った人に遭遇する可能性は高くはありませんが、他のメーカー他のモデルで同じパターンの鍵が採用されている場合もあり、防犯性が高いとは言いがたいのは事実です。
これは特定のメーカーや特定のモデルに限ったことではございませんので、スーツケースの防犯性はその程度であるということを頭に入れておく必要があります。
以前は、ディンプルキーなど防犯性の高いロックを搭載した高級モデルもありましたが、最近は簡単なロックのモデルが多いようです。
スーツケースの鍵のコンセプトと役割
それでは、なぜ多くのスーツケースが割と簡素なロックシステムを採用しているのでしょうか。
それは、そもそもスーツケースのロックには完璧なセキュリティが期待できないということがあると思います。
鍵自体がハイセキュリティでも、やろうと思えばバールなどで鍵自体を破壊して開けることが出来てしまうからです。
ファスナーのスーツケースであれば、鍵を壊すまでもなくファスナーを切り裂いたり、切り裂くこと無く開けてしまうことも出来ます。
金属のフレームモデルであっても、鍵のパーツはバールや大きなマイナスドライバーで破壊することが出来ます。
いくらセキュリティの高い鍵を採用したところで、盗む側がその気になれば、破壊して盗み出すことができるのです。
こうしたことから、そもそも完璧に守るというよりも、時間稼ぎをしてこの荷物は盗み難そうだと思わせることに主眼をおいています。
効率よく盗みを働くには、効率良く開けていくことが必要ですので、当然簡単に開きそうなものから開けられていきます。
鍵が全く無いもの、簡易的な鍵が付いているものに比べれば、きちんとした鍵が付いているもののほうが相対的に防犯性が高くなります。
スーツケースの鍵の役割と機能はその程度のものであると認識しておく必要があります。
防犯のためというより、投げられたりしてもスーツケースが開かないように固定するための役割が、スーツケースのロックの主な役割です。
防犯性とセキュリティを高めるために
スーツケースの鍵が、開かないように固定しておく程度の役割であることは前述の通りですが、どうすれば防犯性を高めることができるのでしょうか。
まずは、なるべく頑丈そうなしっかりした鍵のついたモデルを選ぶことです。
そして、変に高級なものや、妙に派手で目立つものは避けるほうが良さそうです。ただ、あくまで誤差の範囲で願掛けのようなものですので、気に入ったモデルを選ぶのが一番です。
新しいピカピカのものが狙われやすいという説もあり、ワザと傷をつけてから使うような方もいるそうですが、どれほど効果があるのか難しいところです。
無駄に気にする必要はありませんが、ありがちなモデルで、ある程度使い込まれていて、地味な色で目立たないものが一番良いのでしょう。
それよりも何よりも、一番の防犯対策は、スーツケースに貴重品は絶対に入れないということです。これに勝る防犯対策はありません。
スーツケースは漁られる可能性があるということを念頭に置き、衣類や身の回りの小物などの価値の低いもののみ収納するべきです。
現金やパスポートを始め、高価なものは肌身離さず持ち歩きましょう。スーツケースに入れて航空会社に預けたり、ホテルに置いたまま観光に出かけるのは、非常に危険です。