スーツケースの内装生地に付いている謎のファスナーの正体とは
「高いお金を出して買ったのに、内装が安っぽくて失望しました。中に持ち手が付いていない変なファスナーが付いていて欠陥品のようです。製造上の都合でファスナーが付きますと書いてありますが、昔買った今のスーツケースには、こんなものは付いていません。」
こちらは当店に入ったレビューではありませんが、他店のレビューなどを偵察していて見つけました。
しかし、このレビューは当店に入っていても全く不思議ではございません。
この"へんなファスナー"は当店で取り扱っているスーツケースにもほとんどのモデルで付いているからです。
本日は、スーツケースの内装生地に付いている、この謎のファスナーについて解説いたします。
一昔前と少し違うスーツケースの内装
この謎のファスナーは、今では多くのメーカーの多くのモデルについています。内装生地を分断するようにファスナーが付いていて、しかもファスナーにツマミが付いていないという、欠陥品にも見えかねない代物です。
このファスナーに加えて、今のスーツケースの内装の大きな違いは、昔のように内装生地全体をボディシェルに糊付けしていないことにあります。
一昔前のスーツケースの内装生地は、生地全体が樹脂のボディに接着されていましたが、今のスーツケースは端の部分のみ接着されたり縫い込まれています。
したがって、内装生地自体がブカブカとボディから浮いた状態になっており、このあたりが安っぽいと感じる人がいる要因になっています。
それでは、なぜこのような内装になっているのでしょうか?工程を減らしてコストダウンするための手抜きなのでしょうか?
いえいえ、違います。この糊付けされていない内装と、謎のファスナーにはきちんと意味があるのです。
この正体はメンテナンスのためのファスナーです
一昔前のスーツケースの修理は非常に手間がかかるものでした。今ではあまりにも簡単に治るキャスターなどの交換についてもです。
内装をボディに留めてあるリベットを切って、糊付けされた内装生地を少しづつ丁寧に剥がし、やっとキャスターを交換できたのです。
交換後は、再び内装生地を全て糊付けし、リベットで留めて完成でした。
これが今のスーツケースは、内装に付いているファスナーを開ければ、あっという間にドライバー1本で交換することができます。
交換後はファスナーを閉めれば、あっという間に元通りです。従来の1/5の手間でキャスターなどのパーツ交換ができます。
以前よりも修理の費用などは安くなっているはずです。最近ではご自分で交換されるということで、パーツのみ送ってほしいという方も多くなってきています。
このメンテナンスファスナーがついていれば、ドライバー1本で誰でも簡単に壊れたキャスターやハンドルを新しいパーツに交換できます。
ということで、謎のファスナーときちんと糊付けされていない内装生地には、メンテンナンスを容易にするという重要な役割があるのです。
実際、ファスナーが付いていても使い勝手は変わりませんし、内装がピッチリボディに糊付けされていなくても、それほど使い勝手が劣るわけではございません。
メンテナンスファスナーは触らないようにしましょう
このように内装の謎のファスナーは、メンテナンスの時のみ使うものですので、普段は触らないようにしましょう。
たまに、このファスナーを開けて物を収納する方がいらっしゃいますが、誤った使い方です。ここは開けてものを入れる場所ではございません。
最近のスーツケースの内装の、このファスナーもブカブカの内装も決して手抜きというわけではございませんので、購入されてパッと見安物に見えても驚かないでくださいね。
最近ではこのような内装が主流となっております。