キャリーバッグのキャスターの寿命と耐用距離はどのくらい

時々頂くご質問で、スーツケースに仕事で使う機械を入れて国内を回りたいというような、旅行以外の用途での使用についてのものがございます。

キャスターの付いたキャリーバッグは大変便利ですので、色々と活用法はあるとは思うのですが、基本的には旅行のために作られた鞄であるということを忘れてはいけません。

前述の仕事で使う機械を入れたいというお話では、20キロ以上ある計測器を入れて全国の営業先を回りたいというお話でした。

そもそもスーツケースは旅行に使うための鞄ですので、鞄本体と詰めた荷物の合計が20～30kg程度に収まることを前提に設計されています。破損を避けたいなら20キロ以下に抑えるべきです。

何十キロもある機械を入れて、長い距離を引いて周っていては、キャスターをダメにしてしまう可能性が高いと思います。あくまでも衣類など旅行のための荷物を入れる前提で設計された製品なのです。

モデルによってはベアリングの入ったキャスターを採用しているモデルもございますが、多くのキャスターは車軸に直接樹脂製のキャスターを通したものですので、規定以上の重量の荷物を入れると摩耗が激しくなります。

また走行距離も、2,30回程度の海外旅行を想定した、数十キロ程度の連続走行テストしか行っていないため、毎日のように引っ張り回して年間何百キロも走行するというような使用方法は想定しておりません。

こういった用途の方は、旅行用のスーツケースではなく、機器の運搬専用の耐久性を重視したキャリーケースを購入してください。旅行カバンは旅行のためのものです。

キャスターの寿命はどの程度

各メーカー数十キロメートルの走行に耐えられるように設計しているようです。
例えば業界最大手のエース鞄では、スーツケースに重りを入れ、実際に16キロの距離を引っ張って試験を行っているそうです。

16キロというのは少し短すぎる気もしますが、実際は大幅に余裕を持って設計されているはずです。

最近の一流メーカー製のスーツケースは、レンタルで貸してもキャスターが磨り減って交換が必要になるケースはほとんどございません。キャスターがすり減る前にボディの破損が起こります。

運良く30回以上貸し出せたとしても、キャスターが摩耗してダメになる事はほとんどありません。またぶつけられてキャスターが壊れることも殆ど無くなりました。

今のキャスターは頑丈で、逆にボディが軽量化のために薄くなっているため、衝撃を受けるとキャスター周りのボディが変形したり亀裂が入ったりする事がほとんどです。それはそれでより困りますが。

したがって、安物ではないキャリーバッグを購入すれば、車輪の摩耗に関しては殆ど心配する必要がございません。普通の旅行に使っている分には、破損のほうが先に訪れます。

一方、冒頭のような旅行用途ではない日常的に長距離を走行するような使い方には向きません。そういった用途には、高耐久性のベアリングの入ったキャスターの付いた、機材運搬用のキャリーケースをお求めくださいませ。

海外旅行用のスーツケースのキャスターでは、旅行用途の範疇を超える長距離の走行には耐えられません。

長持ちさせための手入れとメンテナンス

キャスターをできるだけ長持ちさせるためにはどのようにメンテナンスを行えばよいのでしょうか。

前述の通り、きちんとしたメーカーの製品を購入した場合は、メンテナンスというメンテンナンスが必要ございません。

キャスターの摩耗よりもスーツケースの破損が先に起こる可能性が高い為、スーツケースの寿命までにキャスターがすり減って壊れてしまうケースは稀です。

ただ、1万円以下の製品を中心とした、強度的にイマイチのキャリーバッグを購入した場合は、傷んできたらグリスを挿す程度のメンテナンスは行っておいたほうが長持ちするかもしれません。

キャスターが摩耗してきたなと感じたら、樹脂に使えるタイプのスプレーグリスなどを挿して、摩耗を抑えましょう。クレ5-56など金属に使う潤滑剤は樹脂を侵す可能性があるので使用できません。

それでも磨り減ってしまったらもう寿命です。安物は使い捨て感覚で使うものですので諦めるより仕方ありません。キャスター交換を修理業者に依頼しても、どれだけ安くても1つ交換で1000円はかかると思いますので、4輪交換すれば4000円以上です。安物であれば買い換えたほうが経済的です。

一方、ある程度の値段のスーツケースの車輪が磨り減ってしまうようなことがあれば、交換したほうが良いでしょう。当店で販売しているモデルのキャスターでしたら、1つ500円から提供できます。（一部キャスターは値段が異なります。）
ただし、モデル廃止後あまりにも長い期間が経つとパーツの在庫がなくなる可能性がございます。

最近のスーツケースはメンテナンスファスナーが付いていますので、誰でもドライバー1本でキャスターの交換が可能です。磨り減ったら交換できますのでご安心くださいませ。