プロテカなど日本製のスーツケースやキャリーバッグはおすすめですか
「日本製のスーツケースが欲しいのですが、こちらのお店では取り扱っていますか?」
このようなお問い合わせは頻繁に頂きます。スーツケースに係わらずメイドインジャパンを望むお客様が一定程度いらっしゃるのは事実です。
このようなお問い合わせを頂いた際は、大変お心苦しいのですが、当店では取り扱っておりませんとお答えいたします。当店で取り扱っているメーカーの中にメイド・イン・ジャパンのスーツケースはございません。
そもそも、スーツケースという商品は、日本国内で製造しているメーカーのほうが少ないのが現状です。少ないというよりも、数年前までは大手のメーカーでは、エース鞄しか国内で製造しているメーカーはありませんでした。
90年代頃までは国内生産を行っているメーカーも有ったのですが、21世紀に入ってからは、欧米のメーカーも含めほぼ全てのメーカーが中国で製造を行ってきました。国内有名メーカーも、世界的に有名なサムソナイトなども台湾や中国の工場で生産を行っています。
ここ1,2年の円安傾向と、中国の人件費アップ、メイドインジャパンの付加価値などから、日本製を販売するメーカーが少し出てきましたが、それでも一部のプレミアムモデルに留まっているのが現状です。
各社とも日本製はプレミアムモデルとして販売しているために、実際の製造コスト差以上に高額なのが現状です。
そもそも日本製に意味があるのでしょうか
日本製のスーツケースを望まれる方は一定数いらっしゃいますが、そもそも日本製である意義とはどういったものなのでしょうか。
日本スーツケース販売店長の私は、以前いた会社も含めて、様々な国内メーカーや、中国の工場から直接仕入れたことなどもございますが、一言で言って中国の工場のクオリティは想像を絶するほど低いということがあります。
現地工場から直接買い付けると、とても日本で発売できないようなクオリティの製品が届きます。傷や汚れはカワイイもので、樹脂の形成がきちんと出来ておらずボディのリブが歪んでいるものや、フレームが歪んでいるものなど、製品として機能しないようなものまで平気で出荷してきます。
それに対して日本のメーカーから仕入れたものは、たまに不良品は混じっているものの概ね良好な品質なものが届きます。同じ中国の工場で製造しているのにもかかわらず、ここまで大きな差が出るのです。
したがって、ネットで格安で売られているようなノンブランドの中国製スーツケースを購入することは絶対に避けるべきです。販売責任者が中国人で、会社の住所がマンションの一室、電話番号が携帯電話になっているようなネットショップは避けるのが吉です。
逆に中国製であっても、国内のメーカーの製品であれば、日本人が品質管理を行っているため品質にはほとんど問題がないということになります。
何も非常に高額な日本製のスーツケースを購入しなくても、国内メーカーの中国製のスーツケースであれば何も心配ありません。それでも細かい傷等がある場合もありますが、この辺りは中国製の限界です。
1回使えば傷や汚れが避けられない旅行かばんという商品の特性上、小さな傷にこだわる意義はあまりございませんが、それでも小キズも我慢ならないという方は高価な日本製をお勧めいたします。
日本製のスーツケースは、中国製と比べると加工精度が高く、小キズなども少なく不良品率も低くなっています。確かに品質は高く物は良いのですが、値段差ほど違いがあるのかというと微妙なところではあります。
仕上がりは日本製のほうが優れていても、強度的に大きな違いがあるわけではないというのが現実です。仕上がりや加工精度は日本製のほうが優れていても、使っている素材は同じものですので、強度上の違いはほとんどありません。
国内メーカーの製品であれば、製造場所が日本製であれ中国製であれ強度的には大きく変わりません。海外の空港で激しく投げつけられれば、日本製であっても破損することは多々あります。
単純に日本製・中国製ということではなく、最終的に製品に責任をもっているメーカーが日本国内のメーカーであるということのほうが大事です。中国製ノンブランドは、使っている素材自体低品質なものですので、当然強度にも差が出てきます。
ずばり国内生産のキャリーバッグは買いか?
細かい品質は日本製のほうが優れているものの、強度など基本性能は国内メーカーの中国生産品と変わらないことは既に申し上げましたが、ずばり日本製のスーツケースは買う価値が有るのでしょうか?
お金に糸目をつけないのでしたら日本製のキャリーを購入するのがおすすめです。コストを考えなければやはり一番良い選択肢です。
ただ、前述の通り、日本製スーツケースであっても壊れる時は壊れるので、コストパフォーマンスを考えれば国内メーカーの中国製造品の中で安いものを購入しておくのがオススメです。
どうせ壊れる時は壊れるので、多少作りが荒くても強度的にほとんど変わらない安い製品を購入するのが一番安全です。
ただ、安すぎる中国製のノンブランド品やショプブランド品は、強度自体が大きく劣るものが多いのでオススメできません。
あくまでも国内大手メーカー品の中から、中国製造の安いものを選ぶのが賢い選択といえます。
また、機内持ち込みサイズのスーツケースを購入する場合や、国内旅行用で飛行機に乗せない場合などは、破損する恐れが無く長く使用できますので、高価な日本製スーツケースを購入しても良いかもしれません。
メイドインジャパンのスーツケースを販売するメーカーとモデル
プロテカ
エース鞄の自社ブランドがプロテカです。ワールドトラベラーなど他のブランドも有りますが、全モデルが日本製なのはフラッグシップのプロテカだけです。エース鞄も多くの安い価格帯の商品は中国製です。商品ラインナップも豊富で、日本製を購入したいのならプロテカが第一の選択肢であるのは間違いありません。
サンコー四季颯
国内有名メーカーのサンコー鞄からも久しぶりに日本製のスーツケースが登場しました。まだ小さいサイズのキャリーケースのみのラインナップのようです。
プロテックス
こちらは元々はスーツケースというよりも、精密機器などの輸送用コンテナなどを作っていたメーカーのようです。一部高額な商品は日本製のようですがかなり高価です。