現代のスーツケースには必須のTSAロックのマスターキーが流出!!
昨日、YAHOOニュースを見ていたら、大変な記事が掲載されていました。
現代のスーツケースには必ずといっていいほど採用されている、TSAロックのマスターキーが流出していたことが分かったそうです。
流出しただけではなく、3Dプリンターで誰でも再現できる3Dデータが公開されてしまっているようで、かなり広く流出してしまっている可能性がございます。
流出してしまった以上は、もうどうにもなりませんが、スーツケースのセキュリティに対して少し心配になってくるニュースです。
TSAロックについて
今回の騒動の影響について考える前に、TSAロックについておさらいしておきましょう。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以降、テロ対策のためアメリカの空港を離発着する航空機に積まれている荷物は開封して中まで調べることになりました。
このため、アメリカに向かう飛行機に預けるスーツケースは、アメリカの空港を経由する場合も含め、鍵をかけてはいけない決まりになりました。
しかし、鍵を全くかけない状態ではセキュリティ上問題があるということで、TSAロックというものが開発されました。
TSAロックは、各鍵穴に合う個別の鍵だけではなく、TSAのマスターキーでも解錠することができる特殊なロックです。
空港職員がTSAマスターキーで解錠できるため、TSA対応の鍵であれば、スーツケースに鍵をかけて預ける事ができるのです。
2005年頃までは、TSAロックに対応したスーツケースと、対応していないスーツケースが販売されていましたが、今では安物も含めてほぼ全てのスーツケースがTSA対応のロックとなっております。
したがって、ここ5年ほどで購入されたスーツケースは、ほぼ間違いなくTSAロックであるといえます。TSAロックの場合は、鍵穴の付近にTSAという表記がありますのですぐに分かります。
マスターキー流出の影響と対策について
最近10年間で販売されたスーツケースの8割9割はTSAロックであると思われますので、今回のマスターキーの3Dデータ流出の影響は極めて大きいと考えられます。
今までもマスターキーが紛失するようなケースはあったようですが、コピー可能なデータが広くネットで流出してしまった今回の騒動は、そのインパクトが違います。
悪意を持った人間が、その気になれば片っ端からスーツケースの鍵を開けてしまうこともできるようになってしまったのが現実です。
今後、マスターキーのパターンが変更されるなどの対策がとられることと思いますが、既に販売されてしまったスーツケースのTSAロックパターンを変更することは出来ません。
対策されたパターンの新しい鍵のパーツに交換すれば対策可能かもしれませんが、鍵のパーツの形状が合うとは限らず、交換費用もかかるためあまり現実的ではありません。
スーツケースのロックの防犯性の記事でもご説明いたしましたが、スーツケースの鍵のセキュリティは元々完璧には程遠いものです。
どちらかというと、簡単に盗まれないように時間を稼いだり、衝撃でロックが外れないように固定するという意味のほうが大きいものです。
TSAマスターキーが流出していなくても、その気になればスーツケースの鍵を開けてしまうことは難しいことではありません。
もともと完璧なセキュリティが期待できるものではありませんので、はじめからセキュリティ面には期待をせずに、貴重品を入れないということが最大の対策となります。
もう流出してしまった以上どうすることも出来ませんので、貴重品を入れないということを徹底して、あとはそれほど気にせず使っていくしかありません。
鍵のついたスーツケースベルトを正しい使い方で巻きつければ、少しはセキュリティの足しにはなりますが、現在ではほとんどの鍵付きスーツケースベルトの鍵もTSAロックになっているのが辛いところです。