鏡面加工のスーツケースの表面に貼られたフィルムは何なのでしょうか
「購入したスーツケースが届いたのですが、新品とは思えないくらい表面が傷だらけです。これは中古品なのでしょうか?」こちらは最近頂いたご質問です。
メールを頂いた瞬間、ええーー!間違えてレンタル品を送ってしまったのだろうか?と思いましたが、よく考えてみたらすぐに理解いたしました。
本日は、一部メーカーのスーツケースの表面に付いているフィルムと、スーツケースの傷について考えてみたいと思います。
一部のメーカーのスーツケースは表面にフィルムが貼られています
上記のご質問の方は、こちらのモデルをお買い上げいただきました。こちらのモデルは、鏡面加工のボディで傷がつきやすい為、表面にフィルムが貼られています。
今日では、鏡面加工のスーツケースを製造する際には、ポリカーボネートの板の一番外にフィルムを貼った状態で製造が進められます。
鏡面加工は非常に傷がつきやすいため、フィルム無しで組立工程を進めると、表面が傷だらけになってしまうためです。
製造が終わると、品質チェック箱詰めの最終工程でフィルムを剥がしてから箱詰めするメーカーも多いですが、フィルムを付けたまま箱詰めして販売するメーカーも有ります。
これは一長一短で、フィルムを剥がしたほうが箱を開けた時にお客さまが受ける第一印象が良いですが、フィルムを付けたまま販売してお客様自らが剥がしたほうがより綺麗な状態でお届けできます。
いずれにしても少しでもきれいな状態でお客様にお届けできるように気が配られているわけです。
一見、スーツケースの表面が傷ついたように見えた時は、焦らずにフィルムが貼られていないか確認してみてください。ご購入のメーカーやモデルによってはフィルムが貼られている可能性がございます。
フィルムを剥せば、きれいなボディが姿を表します。
フィルムがないと製造中にボディが傷だらけに
鏡面加工は鏡のようにツルツルの表面加工になりますので、非常に傷がつきやすいものです。
傷と縁が切れないスーツケースという商品であるならば、本来は傷に強いエンボス加工の方が向いているのですが、見た目の美しさから鏡面加工のスーツケースが現代の主流です。
スーツケースの組立工程でフィルムを貼ったまま作業が行われるのは当たり前で、フィルムがないと大変なことになります。
かなり昔に、貿易会社を通じて中国のスーツケース工場にスーツケースの製造を依頼したことがあるのですが、表面に傷がついたひどいものが届いたことがあります。しかも傷の辺りを必死に布で拭ってごまかそうとした跡が見られました。
こういったケースは以前は多く見られて、ネットショップでも傷物のアウトレット品が今よりも大量に出回っていました。
いつ頃からか、おそらくは大手メーカーの助言で、工場側も対策にフィルムを貼った状態で形成するようになり、以前より傷が付いたスーツケースが製造されることは減りました。
きれいなスーツケースを作る上で、このフィルムは欠かせないものなのです。
鏡面加工は完全に傷無くお届けするのは困難なのが現状です
表面に貼られたフィルムを見ると、かなり傷が付いていることが分かります。フィルムを貼っていなかったらどうなるか、想像に難しくありません。
これだけ傷がつき易い鏡面加工ですので、フィルムを貼って製造するといっても完全に傷を抑えることはなかなか難しいのが現状です。
目を凝らして確認すれば、ボディのどこかしらには小傷が付いていると思います。このあたりは鏡面加工の限界で、完全に防ぐのは難しいところなのでしょう。
ひと目で分かる明らかにひどい傷が付いたものが届いた時は、クレームを入れて交換を要求するべきだとは思います。
ただ、小キズ程度であれば、鏡面加工の場合ある程度は仕方ないところがあります。
そもそも、傷つきやすい鏡面加工であれば、一度使用すれば確実にそれなりの傷が入るものです。
私は、個人的には傷が目立ちにくいエンボス加工のスーツケースが好きなのですが、最近は多くのモデルが鏡面加工になってしまっているので困っております。
ある程度の傷は付くものだと思って覚悟を決めて使うしか無いのが現状です。スーツケースカバーを掛けて使う方もいらっしゃるようですが、邪魔で使い勝手が悪くなりますのであまりおすすめは出来ません。
傷を負っても、破損がなかっただけ運が良かったと考えるしかないようです。スーツケースは破損がなければ儲けものです。本当に破損させられないことを祈るのみです。